重曹の特徴と重曹洗剤の作り方と用途
1 重曹の特徴
重曹(ベイキング・ソーダ)は、よほどハードな汚れでなければ落とすことができる万能かつエコな洗剤になります。重曹とは炭酸水素ナトリウムのことで、加熱するか酸性の液体と混ぜると、水と炭酸ソーダ(炭酸ナトリウム)、炭酸ガス(二酸化炭素)に分解されます。これにより中和、消臭、吸湿、発泡などの効果が現れます。このため、掃除だけでなく料理、洗濯、消臭剤、吸湿剤、スキンケアまでも使える環境にやさしい「万能パウダー」といえます。
2 重曹水スプレーの作り方と用途
【作り方】
分量はコップ1杯(180~200cc)のお湯(40℃位)に、中さじ1杯(10グラム)の重曹を目安にしてください。冷たい水だと溶けないので、必ずお湯を使用してかき混ぜてしっかり溶かしてください。スプレーヤーに容れて使用すると便利なので、スプレーヤーの容量に合わせてお湯と重曹を混合してください。500ccのスプレーなら大さじと中さじ、それぞれ一杯ずつくらいになります。粒が残っているとスプレーが詰まるので、完全に溶けるまで混ぜるように心がけてください。
【用途】
毎日のおそうじに使用して、軽い汚れを落とします。
台所(キッチン):シンク(流し台)、ガスレンジ、IHコンロ、換気扇(レンジフード)などのクリーニング
浴室(バス、風呂)、洗面所、トイレ(便所):日頃のお手入れ
3 重曹クリーム洗剤の作り方と用途
【作り方】
作り方は簡単で、水を少なくして濃度を上げるだけです。これだけでも洗浄効果の向上が期待できます。分量としては重曹3に対して水1程度を基準にしてください。重曹のつぶつぶは少しくらい残っていても構いません。というより粒々を残しておいてください。これがクレンザー(研磨剤)としての役割を果たします。粉のそのままだと素材にからみにくいのですが、少量の水で溶くことで、汚れた部分に密着しやすくなります。重曹の粒子は、クレンザーよりも大きいですが、粒子自体がそれほど固くはないので、素材を傷つける可能性は少ないので心配しないでください。
【用途】
スポンジやブラシにペースト状になった重曹をつけ、汚れた部分をしっかり擦って、ハードな油汚れ等を削り落とします。
4 油汚れ用重曹ペーストの作り方と用途
【作り方】
最後は油汚れ専用強力洗剤にしてしまいます。重曹クリームを作った時の水の代わりに油汚れ用洗剤を使用します。台所用のマジックリンなどを使用し、重曹3に対して油汚れ用洗剤1の割合で混合します。これで重厚なペーストが出来上がります。
【用途】
ガスレンジの五徳、魚焼きグリルの網、レンジフードのファンやフィルターなど頑固な油汚れにペーストを塗って、一時間ほど放置して洗剤を十分効かせます。後はスポンジやブラシで汚れをこすり落として、最後に水洗いします。
セスキ炭酸ソーダの特徴と掃除用途
セスキ炭酸ソーダの成分
セスキ(sesqui)はラテン語に由来する分数で「2分の3」のことです。モノ、ジ、トリ、テトラとか化学の授業で習った記憶のある方も多いと思いますが、この流れで「2分の3」を「セスキ」といいます。セスキ炭酸ソーダの成分は、炭酸ソーダと重曹(重炭酸ソーダ)で、ほぼ1対1の割合です。炭酸ソーダが1、重炭酸ソーダが2に相当するので、これを1対1で合成すれば中間の1.5、すなわち「2分の3」となりセスキ炭酸ソーダとなったわけです。と説明すると2つの成分からセスキが合成されたようになってしまいましたが、実は自然界に存在するのがセスキ炭酸ソーダの方で、これから重曹を生成しているというのが本当のところです。つまりセスキ炭酸ソーダの方が重曹より先にあったということです。
セスキ炭酸ソーダの特徴
セスキ炭酸ソーダは重曹に比べてアルカリ性が強くなります。液性を示すpH(ペーハー)で表現すると、セスキ炭酸ソーダはpH9.8、重曹はpH8.2で数字が大きいほどアルカリ性が強く、pH7が中性、7より小さいときは酸性です。アルカリ性が強いということは油を分解する能力が高くなりということで、油汚れが落ちやすくなります。つまりセスキ炭酸ソーダは重曹よりも油汚れに強い洗剤ということです。また、セスキ炭酸ソーダはアルカリウォッシュと呼ばれることもあります。セスキ炭酸ソーダのもう一つの特徴は水に溶けやすいということです。水に十分溶けるということは、汚れになじんで浸透し、分解することによって洗浄力が向上します。スプレーに入れても、重曹のように詰まって使えなくなる心配が全くありません。
セスキ炭酸ソーダの用途
セスキ炭酸ソーダは、汚れの主な成分とされる脂肪酸(分解した油脂で、皮脂・手垢や台所の油汚れがあたります)やタンパク質(台所の汚れの多くに含まれます。血液などもそうです。)を溶かす効果があります。
台所(キッチン)では、換気扇の油汚れ、ガスレンジの五徳の油とそれが炭化した頑固な汚れ、鍋やフライパンの焦げ落とし、シンクやステンレス容器の曇り取りに効果があります。
浴室(バス)では、カビ取りや水垢とりに効果があります。また、洗濯で使用すれば衣類の皮脂汚れや汗ばみを落とすだけでなく、洗濯槽の洗浄にも効果が期待できます。
リビングや寝室では、壁紙の汚れを落としたり、ソファーやベッドなどの皮脂汚れを落とすことも可能です。
クエン酸の特徴と清掃用途
クエン酸とは
みかんやレモンのような柑橘類などの中に多く含まる有機化合物で、ヒドロキシ酸のひとつです。かつては、酸性洗剤といえば塩酸を薄めたものが多かったのですが、安全性に問題があり、取り扱いに注意が必要なことから、最近ではクエン酸を利用した洗剤が多くなってきました。また、薬局やホームセンターでしか手に入らなかったクエン酸も、最近では100円ショップ等でも安く簡単に買えるようになりました。
重曹やセスキとの違い
最も大きな違いは液性です。重曹やセスキがアルカリ性なのに対して、クエン酸は酸性です。汚れなどの対象物が酸性の場合はアルカリ性の洗剤が、反対にアルカリ性の汚れには酸性の洗剤が効果的です。重曹やセスキはたばこのヤニや油汚れのような酸性の汚れには強いのですが、主な成分がアルカリ性である石化した水垢や尿石にはあまり効果がありません。そこで、この弱点を補完するためにクエン酸を活用すれば、かなりの範囲の汚れに対応することが可能となるのです。
クエン酸水の作り方
クエン酸水の作り方は重曹水と同じで、水に溶かして薄めるだけです。分量は重曹水の時の半分くらいで十分です。コップ1杯(200cc)の水に小さじ1杯位が目安になります。500ccのスプレーヤーですと小さじ約2~3杯くらいがちょうど良いのですが、希釈率は汚れの程度に応じて調整していただいて結構です。重曹水と同じで、よくかき混ぜて粒々が洗剤の中に残らないように注意してください。最悪の場合、スプレーヤ―の吹き出し口を詰まらせることになります。
クエン酸水の用途
【鏡・ガラスの水垢・うろこ取り】
最初に、重曹水等でクリーニングしておき、それでも残ったしつこい頑固な汚れをクエン酸によって取り除きます。鏡などの素材の表面にクエン酸水をスプレーして、キッチンペーパー等で全体を覆い、その上からもう一回クエン酸水を噴霧して30分以上放置します。汚れが酷い場合は、その上にさらにラップをかけて半日ほど放っておいた方が汚れ落ちの効果は向上します。あとはスポンジかブラシを使用してこすり落としてください。湿布代わりに使用したラップを取って、クシャクシャに丸めて表面の水垢やウロコを削り落としても構いません。丸めたラップの角やしわが汚れをそぎ落として良く落ちる場合があります。一度で落ちない汚れは、数回この作業を繰り返して、表面から少しずつ落としていきます。
【お風呂の小物・トイレの軽い尿石】
お風呂の洗面器や椅子などのプラスチックの小物やトイレの尿石などでも軽いものであれば、クエン酸水できれいにすることができます。クエン酸水を素材の表面にスプレーして2~3分放置しておくと洗剤に反応して汚れが柔らかくなるので、スポンジやブラシを使ってこすり落としてください。意外ときれいになるとはずです。是非、試してみてください。
【消臭・抗菌作用】
クエン酸水にはアルカリ性の悪臭を分解する働きやばい菌の繁殖を抑える効果もあります。浴室や台所の排水口にスプレーしたり、キッチンの水切りカゴに噴霧して、消臭・抗菌という利用法もあります。
強アルカリ電解水の特徴と掃除用途
電解水とは
電解水とは、水を酸とアルカリの液性に電気分解したものをいい、液性が強いので「強」を冠して酸性の方を強酸性電解水、アルカリ性の方を強アルカリ電解水と呼びます。強アルカリ電解水のpH(ペーハー)は12前後とかなり高く、成分は水と塩だけです。
アルカリ電解水の特徴
水と塩だけというと洗剤(界面活性剤)の成分がないので安全なイメージがありますが、塩の致死量は30~300グラムと意外と少ないのです。食品としての塩の摂取量は1日10g以下が望ましいとされていまが、平均的な日本人は、14~15gくらい摂取しています。つまり1日の摂取量のわずか2倍強でも、一度に摂取すれば致死量に達する可能性もあるのが塩です。塩分は体に絶対必要な成分でありながら、取りすぎると如何に危険かわかりますね。いくら安全とは言えアルカリ電解水を飲む方はいないと思いますので話を元に戻します。成分としてはさほど危険ではありませんがアルカリ性でpH12というのは取り扱いに注意が必要です。このくらい強いとタンパク質変成作用で皮脂を落とし肌が荒れます。必ず手袋を装着して作業することを心がけてください。
アルカリ電解水の用途
アルカリ性ですので、基本は酸性の汚れを落とすのに効果があります。酸性の汚れとは血液や手アカなどのタンパク質や、換気扇や皮脂などの油汚れなどです。水回りの金属製品、鏡やガラスの水垢によるくもりやトイレの尿石には向いていません。また、アルカリ性が強いので、アルカリに弱い大理石(天然、人工とも)やアクリル系の樹脂に使用すると素材を傷めることになるので注意してください。
アルカリ電解水の作り方
アルカリ電解水の成分は水と塩だけですが、原材料に比べてその製品はかなり割高です。そんなお金を出してまで買いたくないという方のために、簡単でほとんどお金のかからないアルカリ電解水の作り方をお教えします。
炭酸塩というアルカリ剤小さじ1杯を500ccの水で溶かせば、アルカリ電解水に限りなく近い溶液が作れます。作り方は簡単で、ステンレスか鉄製の鍋かフライパンに水と炭酸塩を適当な分量だけ入れ、弱火で熱します。数分で気泡ができ、更に熱すると炭酸の白い泡が出てきます。そのあと5分ほど煮詰めて冷ませば出来上がりです。なお、熱するためにアルミ製品を使用することは避けてください。それと、洗浄力は落ちますがセスキや重曹でもできます。炭酸塩が手に入りにくい方は代用品で試してください。
次亜塩素酸ナトリウム(塩素系)と過炭酸ナトリウム(酸素系)漂白剤の特徴と用途