次亜塩素酸ナトリウム(塩素系漂白剤)の特徴と掃除用途
次亜塩素酸ナトリウムとは
塩素系漂白剤の代表的な成分で、漂白剤だけでなく消毒剤としても幅広く使われています。名前が専門業者以外にはあまり知られていないだけで、一般家庭にも普及している化学物質です。カビキラーやカビハイターなどにも使用されており、カビ菌の除去にも利用されています。単体でも販売されていますが、使い方を誤ると大変危険なので、取り扱いには十分な知識と細心の注意を払う必要があります。特に酸性と反応すると有害な塩素ガスが発生して、最悪の場合は死に至る可能性もないとはいいきれません。よく、「混ぜるな危険」という表示を見かけることがあると思いますが、唯一、家庭用洗剤でこれを見かける代表格がこの組み合わせです。
次亜塩素酸ナトリウムの特徴
液性はアルカリ性で、漂白力が強いため、台所や浴室のカビや黒ズミの除去に使用されます。また殺菌作用もありますが、鼻をつくような特有の臭いがあります。プールなどの消毒に使われることもあるので、その臭いを感じた方も多いともいます。
次亜塩素酸ナトリウムの用途
- 【漂白作用】
水洗いできる白物の衣類(綿・麻・ポリエステル・アクリル素材のみ)であれば漂白することができます。漂白力が強いので色柄物への使用すると染料まで色が抜けてしまうので止めてください。
- 【消毒作用】
ノロウイルスやロタウイルスは、石鹸やエタノールでも消毒することはできませんが、この次亜塩素酸ナトリウムを使えば消毒することが可能です。また、腸管出血性大腸菌O157や一般的な食中毒菌などにも有効であることが知られています。消毒といっても手や顔に直接使用することは肌に良いとは言えません。ドアノブや手すりなど人が触るところ、床や壁などを拭いたり、衣類や器具のつけ置き洗浄などで使用し、消毒してください。
使用上の注意
- 危険なので再度、注意喚起しますが、酸性のものとまぜると化学反応して有害な塩素ガスが発生します。まぜるな危険と表示された洗剤どうし(酸性と塩素系)は絶対に混ぜないでください。酸性洗剤の代表的なものはサンポールですが、他にもあるので必ず事前に確認してください。
- 衣類の漂白に使用する場合は、漂白力が強いので素材、環境によっては黄変することがあります。これは化学反応ですので、元に戻すことはもとより、目立たなくすることもかなり難しいです。漂白力が強いということは衣類を傷めやすいということでもあるので、大事な衣服を漂白するときは薄めにして様子を見てからの方が良いかもしれません。
過炭酸ナトリウム(酸素系漂白剤)の特徴と掃除用途
過炭酸ナトリウムとは
過炭酸ナトリウムは、漂白剤のひとつです。ハイターやブリーチなどの商品名で広く知られている漂白剤が塩素系なのに対して、過炭酸ナトリウムは酸素系の漂白剤です。その成分は炭酸ナトリウム(炭酸ソーダ)と過酸化水素水で、それらを 2:3 の割合で混合して生成します。使用後は、炭酸ソーダと酸素、水に分解されるので、塩素系漂白剤と違って殺菌作用は失いますが、環境に負荷をかけることが少なく比較的安心してご利用になれます。
過炭酸ナトリウムの特徴
過炭酸ナトリウムは白い粉末で、水に溶かすと炭酸ソーダと過酸化水素水に解離され、その水溶液の液性は弱アルカリ性を示し、pHは10程度です。解離した過酸化水素水を加熱すると活性酸素と水に分解されて酸化力を持つようになり、色素を分解して無色の物質に変える漂白作用があります。また、分解された物質は簡単に除去することができます。反応は穏やかなので、絹・毛以外の繊維ならほとんど使用でき、色柄物や樹脂加工したものに使っても問題ありません。
過炭酸ナトリウムの用途
一般に殺菌漂白剤としての利用ができます。塩素系漂白剤(次亜塩素酸ナトリウム)との大きな違いは色柄物の繊維にも使えるところと、発泡力を活かして洗濯槽や排水管パイプのクリーニングにより効果が期待できるところです。
使用上の注意
- 【保管方法】
保管には、容器に水が入らないように注意してください。また、密閉した容器の中で長期間保存するのも避けてください。少しずつ化学変化して発生した過酸化水素が容器を変形させたり破損させたりします。また、ステンレス以外の金属に反応するので容器は金属製は避けた方が良いです。従って保管には水は入らないけれど空気が出入りできるくらい小さな穴が開いた(ガス抜き)、金属製以外の容器を使用するようにしてください。
- 【衣類の漂白】
洗濯に使用するときは色柄物は大丈夫ですが、絹や毛といった材質とボタンやファスナー、バックルが金属製(ステンレスを除く。)の衣類への使用は、素材を傷めるので避けてください。
- 【皮膚への影響】
過炭酸ナトリウムはアルカリ性の蛋白質を溶かし、皮膚に付着すると手荒れの原因となります。クリーニングや掃除をするときはなるべく手袋を装着するように心がけてください。もし、肌に付いた場合は、速やかに水で十分に洗い流してください。
- 【痛みがある場合】
目や口に入ってしまった場合は速やかにきれいな水で洗浄するとともに、痛みや違和感が残る場合は最寄りの医療機関を受診してください。
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