お掃除機能つきエアコンって何?

「お掃除機能つきエアコン」とは、通常、自動でフィルターや他の部品をクリーンに保つ機能を搭載したエアコンを指します。これらのエアコンは通常のエアコンのようにフィルターを手動で掃除する必要はありませんが、一部の高級モデルは10万円以上と高価です。

各メーカーによって異なりますが、お掃除機能が作動すると、フィルターに付着したホコリや汚れをブラシで除去し、それらの汚れはダストボックスなどに収集されます。製品によっては、フィルターだけでなく本体内部もクリーンアップするものや、低濃度オゾンやイオンを使用してエアコン内部を除湿し、カビの発生を防ぐものもあります。

お掃除機能つきエアコンの識別方法

お掃除機能つきエアコンを見分けるために、エアコンのリモコンに「フィルターおそうじ」というボタンがあるかどうかを確認します。このボタンが存在すれば、お掃除機能つきエアコンです。また、各メーカーごとにお掃除機能つきエアコンの名称と機能には違いがあります。以下に、いくつかのメーカーごとの名称と内容を比較しました。

  • ダイキン・シャープ>フィルター掃除
  • 三菱電機・富士通>フィルターおそうじ
  • パナソニック>手動おそうじ
  • 東芝>おそうじ
  • 日立>洗浄

お掃除機能つきエアコンのデメリットは何か?

お掃除機能つきエアコンは、自動でフィルターを掃除してくれるだけでなく、省エネルギー性能に優れたモデルも多いため、電気代を節約できます。ただし、完全に手入れ不要というわけではありません。また、エアコンクリーニングを専門業者に依頼した場合、通常のエアコンに比べてクリーニング料金が高額になることもあります。お掃除機能つきエアコンのデメリットについて具体的に説明します。

① 自己手入れが必要
自動掃除機能を備えたエアコンでも、定期的な手入れが必要です。フィルターの汚れは取り除けても、既に発生したカビや内部の微細な汚れまで完全にクリーンになるわけではないため、注意が必要です。

② 故障や不具合のリスクが高い
自動掃除機能を備えたエアコンは、通常のエアコンに比べて複雑で最新の機能を多く備えているため、故障や不具合のリスクが高まります。

③ 掃除の難易度が高く、クリーニング料金が高額になる可能性がある
通常のエアコンに比べて複雑な構造であり、多くの部品を取り扱うため、専門業者にエアコンクリーニングを依頼すると、料金が高くなることがあります(約5,000円程度)。お掃除機能つきエアコンを検討する際には、これらのデメリットも考慮する必要があります。

お掃除機能つきエアコンの掃除は必要?

前述の通り、お掃除機能つきエアコンでも定期的な掃除が必要ですが、通常のエアコンとは異なる箇所が対象です。多くの人が「お手入れ不要なエアコンを選んだから」と考えることもあるかもしれませんが、むしろ「お手入れが簡単になる」と考えるほうが正確です。

お掃除機能つきエアコンの自動掃除できる部分

お掃除機能つきエアコンが自動でクリーンに保てる範囲は、実はエアコンフィルターや一部の部品に限られます。自動掃除機能では対処できない領域については、自分で手入れする必要があります。

フィルター

お掃除機能つきエアコンは、自動でフィルターの清掃を行います。リモコンに「おそうじ」や「手動おそうじ」のボタンがある場合、お掃除機能つきエアコンです。エアコンの本体カバーを開けると、ダストボックスがあり、これにたまったホコリを定期的に取り除く必要があります。ダストボックスの手入れ方法や頻度は機種によって異なるため、説明書を参照してください。

エアコンの内部

エアコンのリモコンに「内部クリーン」のモードがある場合や、冷房を停止した後に風が出続ける場合、それは内部クリーン機能を備えたエアコンです。内部クリーンは、冷房運転中に発生した結露を乾かし、カビや悪臭の予防に役立ちますが、既に発生したカビや臭いを除去する効果はありません。

お掃除機能つきエアコンを掃除しないと何が起こる?

お掃除機能つきエアコンの手入れを怠ると、以下の3つの影響が生じる可能性があります。

  1. 本体の寿命が短くなる:お掃除機能つきエアコンであっても、年数が経過するとファンや熱交換器などに生活臭や汚れが付着します。これらの汚れを放置すると、エアコンの寿命が短くなる可能性があります。
  2. 不快な臭いの原因になる:フィルターをきれいにする機能は、発生したカビの臭いを取り除くことはできません。フィルターには臭いや頑固な汚れ(油、ヤニ、ペットの毛など)が付着するため、キッチンなどの油汚れの多い場所やホコリの多い部屋では特に定期的なエアコンの掃除が推奨されています。
  3. エアコンの性能低下と電気代の増加:フィルターにホコリがたまると、空気の流れが妨げられ、エアコンの性能が低下し、電気代が増加する原因となります。ダイキンによれば、フィルターを清掃しない場合、冷房時の電力消費が25%も増加する可能性があるとの試算があります。

【わずか40分で】お掃除機能付きエアコンの手入れ

エアコンの掃除は、一般的な手入れ法に基づいていますが、機種や状況によって手順や内容が異なることがあります。分からない場合は、取扱説明書を参照しましょう。

簡単なエアコンの手入れ方法

必要な道具

  • ハンディモップ
  • 掃除機
  • 柔らかいブラシ(古い歯ブラシなど)
  • タオル(2枚)
  • 水で薄めた台所用洗剤

手順

1. ダストボックスとフィルターの掃除

  • 電源を切り、エアコンのフロントカバーを開けます。
  • ダストボックスを取り外します。ダストボックスは、お掃除機能で収集されたホコリやゴミが溜まる場所です。メーカーによって名称や取り外し方法が異なりますので、取扱説明書を確認しましょう。
  • エアコンのフィルターを取り外します。お掃除機能付きエアコンのフィルターは、フロントだけでなく上部にもついていることがあります。
  • フィルターの表面に付いたホコリやゴミを掃除機で吸い取ります。ダストボックスなどの部品についたホコリやゴミはゴミ箱へ捨てます。
  • フィルターとダストボックスを水洗いします。汚れがひどい場合は、水で薄めた洗剤を使った洗浄液で優しく洗います。ただし、機種によっては水洗いできない場合もあるため、取扱説明書を確認しましょう。
  • 水気を取ったら、風通しの良い場所でしっかり乾かします。

2. 内部のホコリ取り

  • フィルターを乾かしている間に、エアコン内部の熱交換器や風向きフラップなどの内部掃除を行います。内部のホコリは掃除機で吸い取り、注意して行います。深追いすると故障の原因になります。

3. 本体の水拭き

  • エアコンの外側や送風口など本体の掃除を、ぬるま湯で絞ったマイクロファイバークロスで行います。
  • パーツを完全に乾かしたら、元に戻します。湿ったまま戻すとカビの原因になるため、しっかり乾かしてから取り付けましょう。

エアコンスプレーについての注意

市販のエアコンスプレーは、エアコン内部の臭いの取り除きに限界があり、トラブルの原因にもなり得ます。エアコンメーカーやエアコンクリーニングのプロもエアコンスプレーの使用をおすすめしていません。

プロのエアコンクリーニングの頻度

プロのエアコンクリーニングは、一般的に2年に1回をおすすめしています。定期的に自己手入れを行いつつ、2年に1回のプロのクリーニングでエアコンを徹底的にお掃除しましょう。

エアコンクリーニングを比較

自己手入れとプロによるエアコンクリーニングを比較すると、自己手入れは主に表面のほこり取りに限定されます。一方、プロのクリーニングは内部まで徹底的に行うため、時間と費用がかかりますが、効果は大きいと言えます。

プロのエアコンクリーニングの魅力

お掃除機能付きエアコンの掃除をプロの専門家に頼むと、どの程度のきれいさが期待できるのでしょうか?実際に都内在住のAさんが、クラフトマーケットに依頼したプロのエアコンクリーニングを試みた体験をご紹介します。なお、機種や状況によって手順や作業内容が変動することがあります。

ステップ 1: パーツの取り外し

素人には難しいカバーや部品など、取り外せるものはすべて外されます。

ステップ 2: お掃除ユニット(ロボット)の取り外し

お掃除機能付きエアコンには多くの電気部品や配線が存在します。奥にある熱交換器を掃除するために、手前に位置するお掃除ユニット(ロボット)の配線が外され、ユニット自体も取り外されます。なお、一部の電気部品はそのまま残されます。

ステップ 3: 洗浄剤の塗布と洗浄

エアコン本体に残された電気部品や周囲の壁、床がしっかりと保護されたら、内部のクリーニングが行われます。プロ専用のエアコンクリーニング用洗剤が熱交換器などの内部に塗布され、高圧洗浄機を使用してカビや汚れが一掃されます。

プロのエアコンクリーニングの特長

プロと素人のエアコンクリーニングを比較すると、洗浄剤を塗布した後に高圧洗浄機を使用して奥の汚れやカビを完全に洗い流せる点がプロの特長です。普段からフィルターの手入れを欠かさないAさんでさえ、高圧洗浄機での作業により、真っ黒な汚水が排出される光景に驚かされました。

ステップ 4: パーツの分解と洗浄

フィルターやダストボックスはもちろん、洗えるパーツ全般が専用の洗剤を用いて水洗いされます。

ステップ 5: 乾燥と組み立て

洗浄されたパーツは十分に乾燥し、確認された後、お掃除ユニット(ロボット)やフィルターなどのパーツが元の位置に戻されます。エアコンの動作確認が行われ、問題がないことが確認されたら、作業は完了です。

お掃除機能が備わっているからといって、エアコンの奥に溜まった汚れやカビが自動で除去されるわけではありません。エアコンを安心して使用するために、プロのエアコンクリーニングを検討してみる価値はあるでしょう。